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前立腺ってなあに

”前立腺”って、なあに

”前立腺”という臓器のことはご存じでしょうか。前立腺は膀胱の出口にあり尿道を取り囲むように存在しています。前立腺の分泌液の作用は精液中に分泌され精子の働きを助けることです。

前立腺は周辺部にある前繊維性被膜・辺縁域と中心部にある中心域・移行域と全体を包む膜より成り立っています。

前立腺は思春期に辺縁域を中心としてよく発達し、50歳前後から移行域を中心として、大きくなります(前立腺肥大)。尿道を前立腺が圧迫すると様々な排尿症状が出現します。(前立腺肥大症)

イギリスからの信頼できる論文では、前立腺肥大症の有病率は、40歳代で13.8%、50歳代で23.7%、60歳代で43.0%、70歳代で13.8%でした。また病理学的(顕微鏡的)には、40歳代で23.4%、50歳代で42.4%、60歳代で70.6%、70歳代で81.9%の方に前立腺肥大を認めます。

年齢を重ねるとともに、様々な排尿症状(下部尿路症状:lower urinary tract symptom (LUTS))が現れてきます。これは、前立腺の肥大による尿道の閉塞とともに主に加齢を原因とする膀胱の機能障害(排尿筋の収縮不全と排尿筋の過活動)によってこの下部尿路症状は出現してきます。そして、これ以外に夜間の多尿(尿量が多い)や睡眠障害等が高齢者には起こるため年齢を重ねるにつれ様々な排尿症状が出現します。

前立腺肥大によって尿道が圧迫されると膀胱にはどのような変化が起こるのでしょうか。
まず、膀胱の排尿をつかさどる筋肉の不安定さを招き、頻尿、尿意切迫感(尿意を感じたらすぐにトイレに行かないと間に合わない、時には間に合わず漏らしてしまう)が出現します。次には膀胱の排尿をつかさどる筋肉(排尿筋)の力が減少し、尿の勢いの低下、排尿するまでの時間がかかる、排尿の途絶、何回かに排尿がわかれる、残尿量の増加、などの症状が出現し,そしてさらに無理を重ねると排尿筋の能力が無くなる(前立腺を処置しても排尿ができない状態)ことになります。

前立腺肥大症の症状には残尿感、頻尿、排尿途絶、切迫性尿失禁、尿の勢いの低下、排尿時のいきみ、夜間頻尿、等がありますが、その重症度は下記のように評価し、合計点数が8点以上は治療の対象であると考えられます。

国際前立腺症状スコア(IPSS)

なし5回に1回未満2回に1回未満2回に1回位2回に1回位上ほとんど
いつも
排尿後にまだ尿が残っている感じがありましたか012345
排尿後2時間以内にもう一度トイレに行かねばならないことがありましたか012345
排尿途中に尿がとぎれてしまうことがありましたか012345
尿の勢いが弱いことがありましたか012345
排尿開始時にいきむことがありましたか012345
床についてから朝起きるまで普通何回排尿に起きましたか012345

また、尿流量測定(尿をたくさん貯めて(150ml以上)、機械に向かって排尿してもらうと尿の勢いの具合がグラフになって表示される)で最大尿流量が15ml/sec以下の場合、あるいは、残尿量が常時50ml以上ある場合は治療の対象であると考えられます。

また、排尿症状による生活の質(QOL)の変化を評価するために下記のような評価をします

なし5回に1回未満2回に1回未満2回に1回位2回に1回位上ほとんど
いつも
排尿後にまだ尿が残っている感じがありましたか012345


排尿の状態が悪いなと思って、泌尿器科外来を受診するときには、次の問診票にチェックをして来院されると診療が円滑に行うことができると思われます。
※下記の、PDFにて印刷ができます。

主要症状質問票

最終更新日

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