診療科のご案内皮膚科

水疱性類天疱瘡

水疱性類天疱瘡とは

自己免疫性水疱症の一種。
自己免疫性水疱症とは、水疱症(皮膚あるいは粘膜の水疱、びらんをきたす疾患)のなかで、自己抗体(自分自身の細胞を攻撃する異常な抗体(蛋白質)によって水疱を生じる疾患のことです。
水疱性類天疱瘡は、自己免疫性水疱症のなかで最も頻度の高い疾患で、高齢者に好発します。
・表皮下水疱症(類天疱瘡群)の代表的疾患。
・高齢者に好発し、後天性水疱症のなかで頻度が高い。
・ある種の糖尿病治療薬(DPP-4阻害薬)により水疱性類天疱瘡を発症することがあります。

主な症状

〇つよい痒みをともなう紅斑や、比較的破れにくい緊満性水疱が生じます。粘膜病変は通常みられません。
〇検査所見
〇皮膚組織で好酸球浸潤を伴う表皮下水疱形成が特徴的です。
〇蛍光抗体直接法という検査法で、表皮下にIgG、C3の線状沈着を証明することで診断されます。
〇自己抗体(ヘミデスモソーム構成蛋白のBP180蛋白、BP230蛋白に対する自己抗体)が陽性となります。

主な治療法

  1. 副腎皮質ステロイド全身投与(内服・点滴注射)
    おおくの症例では、比較的少量のステロイド内服で改善します。初回量を2~4週間継続、以後ゆっくり減量します。最終的に内服中止できる例も多いです。
  2. 重症例・難治例の場合
    高用量のステロイド内服(PSL 1mg/kg/日、プレドニン5mg錠 8~12錠/日)を行いますそれでも効果がなければ、ステロイドパルス療法の追加、免疫グロブリン大量療法や免疫抑制剤内服追加も検討されます。
  3. 軽症例の場合
    ステロイド軟膏外用のみで略治することもあります。
    生じた水疱・びらんは、感染などを被らなければ、1,2週間で上皮化します。
    二次感染をきたした場合、抗生物質内服・点滴をおこないます。 
  4. 治療の副作用・合併症
    通常は予後良好な疾患ですが、高齢者に多いため、ステロイドの副作用や基礎疾患の悪化などに注意を要します。
    ステロイド全身投与による副作用・合併症が、予後に関わる場合があります。

    ステロイド全身投与の代表的な副作用として、
    糖尿病、高血圧症、脂質異常症、肥満、動脈硬化、血栓塞栓症、胃潰瘍、易感染性(一般的な細菌感染のほか、真菌感染、ニューモシスティス肺炎など)、満月様顔貌、多毛、皮膚萎縮、精神神経症状(不眠、うつ状態など)、筋力低下、白内障・緑内障、骨粗しょう症、大腿骨頭壊死など多岐にわたります。

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