アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは
増悪・寛解を繰り返す,瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり,患者の多くはアトピー素因をもつ.アトピー素因とは、家族歴・既往歴(気管支喘息,アレルギー性鼻炎・結膜炎, アトピー性皮膚炎のうちいずれか,あるいは複数の疾患)または IgE 抗体を産生しやすい素因のこと。(日本皮膚科学会ガイドラインより)
皮膚のバリア機能の低下(フィラグリン遺伝子変異など)、アレルギーを引き起こしやすいアトピー素因、外からの要因(ハウスダスト、動物の毛、皮膚常在菌、カビ(真菌)、精神的ストレス、季節変化など)の3要素により生じる、慢性湿疹の状態です。
主な症状
乳幼児期では、頭や顔面に湿疹病変ができて、次第に体や四肢に拡大すします。初期には脂漏性皮膚炎と区別しにくいことがあります。小児期には、皮膚全体が乾燥(アトピー皮膚)して、首や肘や膝の関節屈側にガサガサ・ゴワゴワした病変(苔癬化局面)ができます。思春期・成人期では、苔癬化局面が進行拡大し,上半身を中心に広い範囲に病変がみられます。
眼の症状(白内障、網膜剥離)、皮膚感染症になりやすい(水いぼ(伝染性軟属腫)、とびひ(伝染性膿痂疹)、溶連菌感染など)ことがあります。
主な治療法
治療の基本は、保湿剤とステロイド外用薬の併用です。
- ステロイド外用薬
- カルシニューリン阻害外用薬(タクロリムス軟膏)
免疫抑制剤の軟膏です。ステロイド外用の副作用のでやすい顔などに用います。 - JAK阻害外用薬(デルゴシチニブ軟膏)
炎症を引き起こす細胞内のシグナル伝達を抑えます。顔やその他の部位に使えます。 - PDE4阻害薬(ジファミラスト軟膏)
ホスホジエステラーゼ4(PDE4)の阻害により炎症性サイトカインなどの化学伝達物質の産生を抑制し抗炎症作用を発揮します。顔やその他の部位に使えます。
かゆみ止めの内服薬(抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬)を服用していただくことがあります。
最近では、アトピー性皮膚炎にたいする新薬が開発されてきています。
重症例に対して、生物学的製剤、経口JAK阻害薬など、治療の選択肢が増えてきています。
設備など
紫外線治療が有効な例もありますが、当院には紫外線照射機器はありません。