平成29年帝京大学卒の真木芽以です。
私は後期研修中に妊娠・出産というライフイベントを経験しました。循環器内科を専攻しておりましたが、当科では放射線を使用した緊急カテーテル治療を行うため、妊娠後はカテ治療ができなくなってしまいました。また以前の勤務先では常に忙しく、悪阻や体への負担で体調を崩すこともありました。
妊娠前はもっと働けると思っていましたが、お腹が大きくなるにつれ、母親としての自覚も強まり、主治医から安静にするよう指示され、一時的に診療から離れることになりました。
出産後は住まいの近くの医療機関で、子育てと両立できる職場を探しましたが、オンコールや365日24時間の対応が難しいため、適した職場を見つけることができませんでした。
近隣の医療機関での勤務が難しかったため、もう少し広い範囲で探したところ、公立館林厚生病院で循環器内科医の募集を見つけ、定時帰宅OKという条件を知り、そこで直接お話をさせていただき、子育てと両立できる条件で働かせていただくことになりました。
とても満足しています。医師としての目標は妊娠を機に打ち砕かれてしまったような思いでしたが、子どもが生まれたことによってそれ以上の幸せを感じることができました。
そしてまた再び、医師として患者さんの診療にあたることができるのは、先輩医師の皆さんをはじめ、病院の多くのスタッフの皆さんの協力のおかげです。さらに、母親として子どもの成長を近くで見られることもとても幸せです。
また、妊娠以前の目標であった「医師としての100点」は、当直やオンコールができず、救急対応の経験も少ない現状では絶対に叶わなくなりました。しかし、今できることを「今の100点」として取り組んでいます。働き方を変えることが一番苦しかったのですが、時間とともに自分にとって何が大切なのか分かるようになりました。その結果、80点でも十分満足できるようになりました。ただし、患者さんの命に関わることでは妥協できないので、その際は先輩医師に助けを求めています。当院には多くの循環器内科医がいて、皆さん親身に教えてくれるので非常に助かっています。
子育てをしながら働く先生の多くは、学習や経験の部分で自信を持てず、悩んでいるのではないでしょうか。当院ではライフイベントや生活環境の違いに合わせた多様な働き方を一緒に考えてもらえる環境があります。今後はこのような考えの医療機関が増え、子育てと医師としての目標を両立できる社会になることを望んでいます。同じような境遇で悩んでいる先生がいらっしゃいましたら、ぜひ当院へご相談いただきたいと思っています。