【めまい疾患】椎骨脳底動脈循環不全症
主な症状
比較的高齢者で、多くは深夜から早朝にかけて、激しいメマイ感と嘔吐が出現します。救急車で搬送され、来院されることが多い疾患です。脳梗塞や脳出血などの脳卒中による症状の可能性があるため、救急外来では、CTや場合によってはMRIなどで脳を確認します。手足の麻痺やシビレなどの中枢神経障害がなく、画像検査でも脳出血や脳梗塞などの急性期脳卒中がない場合には、メマイ感の原因として脳血流の一過性循環障害が疑われます。平衡感覚に関与する脳領域の血液循環は、椎骨脳底動脈が主体となるため、このように脳梗塞には至らない一過性脳虚血によるめまい症をしばしば椎骨脳底動脈循環不全症と診断します。
主な治療法
まずは安静と補液点滴による対症療法を行います。多くは1週間程度で自然に軽快します。高齢者は、入院中に、ベット上で寝たきり状態が続くと筋力低下が進みやすく、メマイ症状が回復しても日常生活に戻りにくくなってしまいます。従って、ある程度メマイ感が軽快してくれば、可能な範囲で積極的に動いてもらい、スムーズに退院できるよう指導しています。